兵庫県の斎藤元彦知事に対する“パワハラ”疑惑が、元大阪市長で弁護士の橋下徹氏によって新たな注目を集めている。9日、フジテレビの報道番組「日曜報道ザ・プライム」に出演した橋下氏は、兵庫県議会の調査特別委員会が提出した報告書に言及した。この報告書では、斎藤知事に関するパワハラ疑惑について、7項目のうち5項目に一定の事実が認定されたとされている。
特に、職員に対する出席のあり方については、「パワハラと言っても過言ではない」との結論が下されている。報告書は議会で承認され、斎藤知事はこれを「一つの見解」として受け止めつつも、公益通報の対応については法律違反の可能性が高いとの指摘に対し、「適切だった」と反論した。
問題の発端は、昨年3月に元県民局長によって作成された告発文書にあり、この男性は自身の告発を県の公益通報窓口にも通報していた。しかし、兵庫県は彼を公益通報者保護法の適用対象外と判断し、内部調査では文書の内容を誹謗中傷に該当すると認定。その結果、男性は定職3ヶ月の処分を受けたが、彼はその後死亡しており、事態は深刻さを増している。
斎藤知事は記者会見で、故人の公用パソコンから見つかった私的文書について「倫理的に極めて不適切」と断じたが、その文書の内容を確認したかとの質問に対しては「読んでいない」と回答。これに対し、記者の間からは発言を撤回すべきとの批判が上がった。
橋下氏は、報道の在り方にも疑問を呈し、パワハラや不正行為の問題は改善によって解決すべきであり、斎藤氏が辞職すべき問題ではないと述べた。しかし、最も問題視したのは告発者を貶める姿勢であり、告発者の人格を否定する論理は民主主義において許されないと強く批判した。
また、橋下氏は内部告発は全ての人が行うものではなく、時には不正を起こした当事者が告発することもあると指摘。告発の正当性を改めて主張し、もし斎藤氏が告発を受け入れ、事実を調査していれば、少なくとも一人の命が失われることはなかったかもしれないと警鐘を鳴らした。
この一連の問題は、パワハラや行政の透明性、公益通報者保護のあり方に関わる重要な課題を浮き彫りにしている。今後もこの問題がどのように展開されるか、注視が必要である。