「ネット上では〝計算高い女〟とか、〝承認欲求の塊〟とか、いろんなことを言われています。全然違うんですけどね」 【写真5枚】渡邊渚「笑顔のタンクトップ姿」ほか 渡邊渚さん(27)は強がる素振りもなく、くだけた笑顔でそう話した。 1月末に5万字を超える書き下ろしを収録した自身初のフォトエッセイ『透明を満たす』を刊行。フジテレビアナウンサー時代に発症したPTSD(心的外傷後ストレス障害)の闘病とその克服過程が赤裸々に綴られた同書は大きな反響を呼び、発売から1ヵ月近くが経ったいまなお、書店では品薄や完売状態が続く。
アマゾンには現在1400を超える同書への評価が寄せられている。 退局から約半年。新たなステージで活躍する渡邊さんに、現在の心境を聞いた。 「書籍のお話をいただいた昨年秋から発売まで突っ走ってきました。読者の方に向けたイベントも無事終わり、いまは若干、〝もぬけの殻〟みたいな感じです。今日も10時間くらいしっかり睡眠をとって取材に臨ませていただきました。
最近のオフの日や時間がある時はひたすらアニメを観ることが多いですね。ここ数週間だと『薬屋のひとりごと』と『Dr.STONE』。配信されているエピソードはすべて観て、もう何周目に突入したんだろう(笑)。家族には『のめり込み過ぎて怖い』と言われるくらい、ハマると没頭しちゃいますね」 人並み外れた集中力は、書籍の制作時にも多分に生きた。 「エッセイの執筆期間はだいたい3週間。その後に何度も修正を重ねはしましたが、最初の原稿は締め切りよりもかなり早くでき上がりました。書き溜めていた日記もあったので、合計27本あったトピックの1本あたりを90分くらいで書いていました。 文字を打ち込むのはPCではなくすべてスマホ。夜、寝っ転がったりしながら書き進めるうちに、集中していて気付いたら朝になっていたなんてこともありました。昔から課題があると早く済ませないと落ち着かないタイプ。小さいころの夏休みの宿題なんかも夏休みが始まる前に終えていました。せっかちなんでしょうね」 ◆PTSDの貴重な症例に 短期集中でまとめられた文章には熱のこもった感想がたくさん寄せられている。 「ネットのレビューや、インスタのコメントにDM。たくさんの感想をいただいています。
なかでもエッセイを読んで『泣きました』と言ってくれる人がすごく多くて、嬉しいのと同時に不思議な気持ちになります。このエッセイは誰かを泣かそうとして書いたわけではないから。自分の身に起きたこと、思っていたこと、見ていた景色。そういったものを思い出しながら、正しく伝わってほしいという一心で書きました。 でき上がった文章を読んで涙を流してくれる人がいるということは、自分が悲しいとか、苦しいと感じていたことを、世の中の人もそう思ってくれるんだって。あの時の自分の感情は間違っていなかったんだと肯定されたような、温かい気持ちになります」 渡邊さんが患ったPTSDは〝トラウマ体験〟と呼ばれる生命を脅かされるような出来事がきっかけで起きる精神疾患だ。病の根源である〝心の傷〟については、センシティブであることが非常に多いため実際の症例が世間に開示されることは少ないという。
「カウンセラーの方からも本の感想をいただきました。実際にPTSDを発症した人による具体的な情報が書かれた本だから精神医学からしても価値のあるものじゃないかと言ってくださって。 私自身、PTSDと診断された時に、いくら調べても身近に感じられるような情報や具体的な回復までの道筋がわからなくて本当に不安になりました。良くなることのない病気なのかとすら思いました。でもけっしてそんなことはない。 そのメッセージを伝えたくて、この本を少しでも早く世に出したいと思っていたので、本当に嬉しいです。ずっと私に寄り添っていてくれた、母と同じくらいの年齢のソーシャルワーカーさんも、『この本を病院に置きたいね』とまで言ってくださいました」 温かい言葉が寄せられる一方で、ネット上では以前から心無い言葉が書き込まれている。 「私のインスタのコメント欄はカオスですね。病を公表したら『死ぬ死ぬ詐欺だ』と言われ、回復した姿を発信したら『PTSDがそんな早く治るわけない。詐病だ』と罵られる。そもそもSNSを更新するだけで『ネットなんて見ずに静かに暮らしてください』というコメントが飛んできます」 2月28日発売の『FRIDAY3月14・21日合併号』と有料版『FRIDAY GOLD』では、渡邊渚さんがいま想うことを明かしている。心の病やトラウマとなった出来事との向き合い方についても語った。 『FRIDAY』2025年3月14・21日号より