初回、42号ソロを放った大谷翔平(AP)
◆米大リーグ ドジャース6―4オリオールズ(28日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)
ドジャース・大谷翔平投手(30)が28日(日本時間29日)、本拠地・オリオールズ戦に「1番・DH」で先発出場。愛犬デコピンと超異例の1人と1匹による始球式を大成功させると、直後に今季4本目となる先頭“ご褒美弾”、さらには2盗塁の大暴れで史上2人目の「42―42」に到達した。
愛犬の奮闘にワンダフルなひと振りで応えた。0―0の初回先頭。大谷は21年サイ・ヤング賞右腕、バーンズの外角スライダーに体勢を崩されながらも、最後は右手一本で運んだ。打球速度102・2マイル(約164・5キロ)、角度33度、飛距離391フィート(約119・2メートル)。3試合ぶりの一発は右翼席に飛び込む42号先制ソロ。米通算10本目の先頭弾となり、「1打席目から良かったです」。二塁付近でブルペンに、三塁付近ではベンチに向かって自ら考案の「デコピンポーズ」を連発した。
「打席より緊張しました」というのが試合前の“始球式”だった。大谷に抱えられ、背番号17のデコピンが登場。マウンドでの「待て」から、ボールをくわえてホームの主人の元へ一直線で駆けた。“ストライク”が完成し、1人と1匹でハイタッチ。約3週間前から練習し、「1回ここに来て予習もしました」と球場でのリハーサルも済ませていた。「素晴らしかったです。いいおやつでも買ってあげたいと思います」と笑った。「家族」と表現するデコピンに力をもらった。
マウンドで愛犬・デコピンに声をかける大谷翔平(AP)
「デコピンスパイク」装着の足でも魅せた。3回1死一塁では右前安打で2試合連続、今季47度目のマルチ安打とすると、その後二塁から今季41盗塁目となる三盗を決めた。右膝につけていたばんそうこうも取れ、4試合ぶりのスチール。無死一塁から一ゴロで塁に残った5回は盗塁の“おかわり”となる二盗。42本塁打、46盗塁を記録した98年のA・ロドリゲス(マリナーズ)以来史上2人目の「42―42」に達し、この日3得点で自己最多の104得点とした。
これでシーズン51本塁打&51盗塁ペース。前人未到の「50―50」も現実味を帯びてきた。不振と言われた8月も気付けば10発、14盗塁。MLB公式サイトのサラ・ラングス記者のXによると、月間「10―10」は史上8人目の快挙だという。大谷は「両方できるに越したことはないので。全体的に良かったと思います」と素直にうなずいた。
ナ・リーグ西地区で首位のドジャースは同2位のDバックスと3ゲーム差を死守。ロバーツ監督は「犬があれほど訓練されていることに非常に感心したよ。しかし、翔平の犬だ。驚くべきことは何もない」と上機嫌で「大きなイベントがあると、彼はそれをさらに大きなものにする」と大谷をたたえた。スイートルームで観戦した真美子夫人も同様に、支えてくれる存在が背番号17を強くする。(中村 晃大)