大谷翔平の最大の変化 真美子夫人と歩んだシーズンがもたらしたもの

メジャー、NPB12球団の担当記者が「2024 A WORD」と題し、今季印象に残った言葉から当時を振り返る。 * * * * 54本塁打、130打点の2冠王に輝き、3冠王を最後まで争った9月29日のレギュラーシーズン最終戦だった敵地・ロッキーズ戦終了後。クラブハウス外の通路で行われたシーズンを総括する囲み取材の中で、大谷は真美子夫人と結婚して初めて迎えたシーズンだったことについて問われ、こう答えた。 「1人でいるよりも、野球以外を考える時間が多くなった。それがいい方向に自分の中で、よりグラウンドにいる時に野球に集中できるようになったのかなと思う。そこはもちろん感謝したいなと思います」 大谷といえば、野球に誰よりも没頭し、生活の全てを野球に注ぎ込んできたイメージが強い。日々取材していると、クラブハウス内ではスマホを操作し、ちょっとジャンキーそうなハンバーガーを食べるなど人間らしい一面も見られたが、もちろん全ての中心は野球。毎日10時間ほど寝て、遠征中も外出を極力控えるなど、グラウンド外での話はこれだけ注目されながらほとんど聞こえなかった。 そんな大谷が「野球以外を考える時間が多くなった」という今季。真美子夫人の存在、サポートが大きかったこともあるだろう。野球以外に神経を使うということは大谷にとってストレスになる可能性があったが、「集中できるようになった」とまで言って、変わらぬ活躍を見せたことは、今季の大谷の最大の変化だった。 今年7月には30歳になった大谷。誕生日直後には「技術的にはもちろんそうですけど、フィジカルの面も毎年よりいい状態で臨めているとは思う。年齢は数字だけ」と話していた。打撃技術が年々向上していることは数字が示し、59盗塁したように体力面でも伸びしろがある。 今季は山本らチームメートと外食に行く機会も作るなど、リーダー的存在としての自覚も出てきた。心身ともにまだまだ成長を続けているような気がしてならない。(MLB担当・安藤 宏太)

大谷翔平、レギュラーシーズン終了も「今シーズンを振り返ることはない」「いい思い出がくるように」

◆米大リーグ ロッキーズ1―2ドジャース(29日、米コロラド州デンバー=クアーズフィールド) ドジャース・大谷翔平投手(30)が29日(日本時間30日)、敵地・ロッキーズ戦に「1番・指名打者」でフル出場し、4打数1安打、1盗塁でレギュラーシーズン最終戦を終えた。打率は3割1分で逆転での首位打者、三冠王はならなかったが、12試合連続安打、3試合連続盗塁で締めくくり、本塁打王と打点王は確実で、史上初の「50―50」を達成した本塁打と盗塁は「54発&59盗塁」で終えた。 試合後に日米のメディアの取材に応じた大谷。多くの偉業を成し遂げた今季最も記憶に残ることを問われると「まずは1年間しっかりと安定して出られたのが自分の中では1番よかったですし、それにともなってケアをしてくれた人たちもそうですし、サポートしてくれた人たちにも感謝したいです」と口にした大谷。さらにもう一度記憶に残るシーンを聞かれると「一番は分からないですかね…。そのときそのときでうれしさもありますし、これからポストシーズンもあるのであまり今シーズンを振り返ることはないので、それよりいい思い出が来るように努力したいなと思います」と前を向いた。 メジャー7年目でドジャース加入1年目だった大谷の24年シーズンは、159試合に出場して636打数197安打の打率3割1分、54本塁打、130打点、59盗塁、OPS1・036だった。ドジャースは3年連続地区優勝で、12年連続のプレーオフ出場が決定。10月5日(同6日)にプレーオフの地区シリーズ初戦を本拠地で迎える。

大谷翔平、ヤンキースとのワールドシリーズへ「やっと来た」「最高の1年になるんじゃないかな」 頂点へあと4勝

◆米大リーグ ナ・リーグ優勝決定シリーズ第6戦 ドジャース10―5メッツ(20日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム) ドジャース・大谷翔平投手(30)が20日(日本時間21日)、3勝2敗で突破に王手をかけたナ・リーグ優勝決定シリーズ第6戦の本拠地・メッツ戦に「1番・指名打者」でフル出場し、4打数2安打1打点の活躍を見せ、チームも逆転勝ちして、ヤンキースとのワールドシリーズ進出、4年ぶりのリーグ優勝を決めた。 1点を追う初回先頭の1打席目に、第2戦で3打数無安打に抑え込まれた先発左腕・マナイアから中前安打を放つと、1死一、三塁でエドマンの逆転2点適時二塁打につなげた。チームはそのまま逃げ切って4勝目。大谷は同シリーズで全6試合に「1番・指名打者」でフル出場し、22打数8安打の打率3割6分4厘、2本塁打、6打点の成績を残した。ポストシーズンの1シリーズでは球団史上最多となる17出塁(2本塁打、6単打、9四球)の記録も樹立した。 メジャー7年目にしてようやくたどり着いたワールドシリーズの舞台。大谷はシャンパンファイトを終えて行った会見では「本当にやっと来たなというか、ここまで苦しい試合全員でつかみ取ったそういう素晴らしいゲームが多かったなと思います」と心境を明かし、残り4勝となった頂点へは「ここを目指してもちろんやっていましたし、そうなるように望んでいましたけど、楽に来られたわけではないので、本当に全員が一生懸命自分のやるべき事をやってここまで来られたので、あとは最後のシリーズ自分たちの野球を貫き通せば最高の1年になるんじゃないかなと思います」と決意を口にしていた。