長期的な視点で日本市場をつかんだドジャースの経営戦略
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ドジャース・大谷翔平【写真:荒川祐史】
大谷翔平投手、山本由伸投手、佐々木朗希投手を擁するドジャースは、もはや日本社会も席巻している。米国メディアは日本からの観光客の30%が観戦を旅行日程に組み込んでいると報じており、もはや「日本人向けのアトラクション」という見方まで浮上する状況だ。 【画像】「凄い量だ」「嘘だろ」 米ファン仰天、大谷翔平に用意された“1080億円契約の理由”を裏付けるシーン 米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」が22日(日本時間23日)の記事で、日本をターゲットにしたドジャースの経営戦略を取り上げた。「トヨタのレクサスを除き、日本の高級輸入品市場を独占している」と独特な表現で、日本の観光客をドジャースが多く呼び寄せていると指摘している。 記事では「米国を訪れる観光客の推定30%が今ではドジャースタジアム訪問を日程に含んでいる。そしてドジャースは太平洋の向こうの国であまりに人びとを引き付けるアトラクションになっており、米国より日本での方が前回のワールドシリーズを視聴した人が多かったほどだ」と、その過熱ぶりを紹介。ドジャースの存在は、もはや単なる「野球チーム」ではなくなっているようだ。 日本人選手の獲得は長年にわたり重視していたが、大谷の将来的なメジャー移籍が見えてきた約10年前からギアを上げた。その努力が実を結び、大谷ら3選手を獲得したことで「日本関連ビジネスはこの2年間だけで加速し、全く別の次元になった」と言及した。
また、ドジャースのアンドリュー・フリードマン編成部長が米ポッドキャスト番組に出演した時の言葉を紹介。2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の大会前に侍ジャパンが行った宮崎キャンプを視察した際に「そこでハっとした。客席にドジャースの帽子があった。パドレスのも、レッドソックスのも、ヤンキースのも、レンジャーズのも」と感銘を受けたという。 同氏は「究極の目標は、もちろんまずは勝つことと最高のチームを作り上げることだが、野球に対してこれだけ情熱を持っている国で真の(ドジャース)ファンの世界を作り上げることができれば、それが直ちに利益を生むだけでなく、その先の利益も生む」と熱弁。
その上で「次のショウヘイかロウキかヤマモトになる8歳、9歳、10歳の子どもがドジャースの帽子を被ってくれて、そして『ドジャースに入りたい』と考えてくれることが私たちの願いだ。なので私たちは日本でチームのブランド力をあげてファン層を拡げるために全力を尽くしている」と語っていた。 3月18、19日にはチームとしては初めて、日本での開幕戦を迎える。既に日本中でチケット争奪戦が繰り広げられるなど熱気に包まれている状況だが、当日の光景はドジャース経営陣の目にどのように映るだろうか。