ガンバレルーヤよしこ「脳の難病」で顔が激変。気づかぬうちに失明の危機にガンバレルーヤよしこ「脳の難病」で顔が激変。気づかぬうちに失明の危機に
下垂体腺腫は脳の下垂体にできる良性腫瘍で、ホルモンのバランスを崩し、視覚障害や体調不良など、日常生活にさまざまな影響を及ぼすことがあります。発見が遅れると重大な症状につながることもあり、早期発見と適切な対応が重要です。
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今回は実際に下垂体腺腫を経験したガンバレルーヤよしこさんに、発症当時の心境や治療経験をうかがいながら、下垂体腺腫の治療と早期発見・早期治療の重要性について日本脳神経外科学会専門医である清水暢裕先生に解説していただきます。
「ただ太っただけ」ではなかった。先端が巨大化する“下垂体腺腫”の発覚よしこさん鼻の変化
清水先生:最近の体調はいかがですか?
よしこさん:下垂体腺腫による症状は手術後になくなりました。手足や鼻の大きさは元に戻りましたが、顎だけは骨が成長した影響か元に戻っていません。もともと歯が出ていましたが、顎が出たことで受け口になり噛み合わせも変化して、食事は前歯で食べるようにしています。
清水先生:視野の症状はいかがですか?
よしこさん:手術後は目が見えるようになり、視野も広がりました。
清水先生:最初に異変を感じた時のことを教えてください。
よしこさん:当時、自覚症状はありませんでしたが、先輩芸人に鼻が大きくなっていることを指摘されたのがきっかけだったと思います。その後どんどん靴がきつくなり履けなくなっていきましたが、「太ったせいかな」と思い気にしていませんでした。
清水先生:むくんでいたのでしょうか?
よしこさん:はい。手足はむくんでいました。
清水先生:症状が気になり出したのはいつ頃からでしたか?
よしこさん:視野に異常が生じた頃だと思います。
清水先生:どのような症状がありましたか?
よしこさん:左目の左上あたりに光の刺すような感覚がありました。心配になって眼科を受診しましたが、特に異常は見つからず、その時は様子を見ることにしました。
清水先生:下垂体腺腫が見つかったきっかけは何だったのでしょうか?
よしこさん:ちょうどその頃、当時のマネージャーから人間ドックを勧められ受診したところ、その検査でたまたま異常が見つかりました。
清水先生:下垂体腺腫はどのような様子でしたか?
よしこさん:頭の真ん中に2〜3cmくらいの腫瘍があり、すぐに治療を受けたほうがいいと言われました。
清水先生:診断を受けた際、どのように感じましたか?
よしこさん:ただ太っただけだと思っていたのですが、下垂体腺腫の症状が全て当てはまっていて驚きました。マネージャーの勧めがなければ人間ドックも受けていなかったと思うので、本当に感謝しています。
清水先生:下垂体腺腫は症状を自覚していても重要視せずに発見が遅れるケースも少なくありません。よしこさんの場合、人間ドックで早期に見つかったのは本当に幸運だったと思います。よしこさんは症状を自覚してから下垂体腺腫と診断されるまでに、どれくらいの時間がかかりましたか?
よしこさん:鼻が大きくなっていることを指摘されてから、半年間くらいだと思います。
清水先生:比較的早いですね。
よしこさん:下垂体腺腫が発見されるケースは、どのようなきっかけが多いのですか?
清水先生:腫瘍が視神経を圧迫することで両目の耳側から視野が狭くなり、眼科を受診して発見されるケースが多いと思います。
よしこさん:私も視野の異常があるのは左だけだと思っていたのですが、実際に検査すると右の視野も狭くなっていることが分かりました。
清水先生:あまり自覚はなかったのですね。
よしこさん:そうですね。バラエティ番組では横から飛んでくるクリーム大砲に全く気づかず、正面を向いたままリアクションができませんでした。その際に視野が狭くなっていることを自覚し、これはまずいと思いましたね。
清水先生:よしこさんと同じように、ふだんの生活では中心が見えていれば大きな支障もないため、視野の異常には気づきにくいことが多いと思います。
よしこさん:なぜ下垂体腺腫では視野の異常が現れるのでしょうか?
清水先生:下垂体は左右の視神経が重なる場所の真下にあるため、腺腫が視神経を下から突き上げるように圧迫することで症状が出ると考えられています。
よしこさん:腫瘍による物理的な影響で視野の異常が現れるのですね。視野以外の症状が出るのはなぜですか?
清水先生:下垂体はホルモンを産生する場所であり、腫瘍によってホルモンの分泌異常が起こると考えられています。例えば骨や手足が大きくなる症状は、成長ホルモンの分泌異常によるものです。
よしこさん:私も手術前は、成長ホルモンが多く分泌していると言われました。そのせいか、もともと足は遅かったのですが、当時は走るのも早くなった気がします。それも関係ありますか?
清水先生:成長ホルモンは骨の形成に関わるため直接の原因ではないかもしれませんが、下垂体はステロイドホルモンの分泌にも関与しているため、ドーピングのような状態になっていた可能性はあると思います。
よしこさん:主治医からもそのような説明がありました。
清水先生:下垂体腺腫では妊娠していないのに母乳が出たり、生理が止まったりすることもあります。それは、プロラクチンという妊娠を継続するために作られるホルモンの分泌異常が原因です。このほかにもさまざまなホルモンの影響によって、それぞれに応じた症状が現れます。
よしこさん:腫瘍が成長するスピードは人それぞれですか?
清水先生:悪性腫瘍の場合はある程度成長のスピードを予測できますが、良性腫瘍は早く成長するものもあればほとんど変化しないものもあり、一概には分からないと思います。
よしこさん:下垂体の腫瘍にはがんもあるということですか?
清水先生:はい。下垂体腫瘍の約80〜90%は、下垂体腺腫などの良性腫瘍ですが、ごく稀に約1%の確率で悪性の下垂体がんである場合もあります。
よしこさん:下垂体腺腫とそれ以外の下垂体部の腫瘍の場合は症状も変化するのでしょうか?
清水先生:症状自体は基本的に共通しており、下垂体腺腫はホルモンを分泌するタイプと分泌しないタイプに分けられます。ホルモンを分泌しない場合は主に場所による症状である視野障害や頭痛がみられ、分泌するタイプではそうした症状に加えて、ホルモン異常による症状が現れます。
よしこさん:男性と女性どちらに多いのですか?
清水先生:女性に多いと考えられています。
よしこさん:下垂体腺腫の原因について教えてください。
清水先生:下垂体腺腫の原因は明らかになっていません。発症頻度が低く、長期な治療が必要という理由から下垂体腺腫は国の特定疾患(難病)に指定されています。
よしこさん:私も特に女性には鼻や手足が大きくなり、視野の異常が現れたら、見逃さずに迷わず病院を受診してほしいと伝えるようにしています。