学歴詐称疑惑を追及されている静岡県伊東市の田久保眞紀市長が2025年7月2日に会見で、大学を「除籍」になっていたと説明した。その中で、「どのような形でいわゆる卒業が除籍に変わっているのかという点についても、私自身も確認はすべきかなと思っております」と話す場面もあったが、卒業したあとに除籍になることはあるのだろうか。 【画像】広報誌に掲載された田久保市長の略歴 田久保市長が通っていたとする東洋大学に聞いた。 ■「どのような形でいわゆる卒業が除籍に変わっているのか」 田久保市長は、5月25日に投開票された市長選で初当選。当選後に発行された市の広報誌では、「平成4年 東洋大学法学部卒業」と記載されていた。しかし、6月の市議会で、大学を卒業していないなどとする投書が寄せられたとして、学歴について追及されていた。 田久保市長は2日の会見で、6月28日に卒業証明書を取得するため大学を訪れたとし、「卒業は確認できませんでした。除籍であるということがその場では判明いたしました」と説明した。なお、選挙中には大学卒業を公表していないとし、「公職選挙法上は問題ないという結論になった」と主張した。 田久保市長は、卒業証書とみられるものを議会に提出したほか、26日には卒業アルバムを持参して会見に臨む意向を示していたことが報じられており、会見でなぜこうしたものが手元にあったのかを尋ねられると、「現時点で手元にきている書類で経緯が説明できませんので、あくまで一般論になりますけれども」としたうえで、 「どのような形でいわゆる卒業が除籍に変わっているのかという点についても、私自身も確認はすべきかなと思っております」 と話した。さらに、議会に提出したとされる卒業証書とみられるものについて追及されると、田久保市長は「卒業証書であろうと……卒業を証明するものであろうと思ったので、ほかの方にお見せしたんですけれども、残念ながら卒業を証明するものとしては機能しなくなってしまったというか、実際には卒業していない」と回答した。 続けて、「一度卒業という扱いになって、今どうして『除籍』になっているのかというところについて」、事実関係に基づいて確認ができ次第公表する意向を示した。 田久保市長は、「卒業が除籍に変わって」いたとの発言をしているが、一度卒業したあとに「除籍」扱いになることはあるのだろうか。 7月3日にJ-CASTニュースの取材に応じた東洋大学広報課は、「ありません」と回答した。
そもそも「除籍」と「退学」の違いは
そもそも「除籍」とはどのような扱いをいうのか。東洋大学広報課はJ-CASTニュースの取材に「除籍手続きが決裁されることにより、在籍が無くなりますので、決裁日以降は学生の資格を失います」と説明した。 東洋大学学則では、下記に該当する場合に、所定の手続きを得ると除籍になると定めている。 「(1)授業料その他の学費を所定の期日までに納入しない者 (2)第20条に規定する在学年数を超えた者 (3)第35条第3項に規定する休学期間を超えた者 (4)新入生で指定された期限までに履修登録を行わないこと、その他本学において修学の意思がないと認められる者 (5)出入国管理及び難民認定法(昭和26年10月4日政令第319号)に定める「留学」又は他の中長期在留資格の取得が不許可又は不交付とされた者」 「除籍」と「退学」との違いについて、「除籍」とは「学則に該当する事案が確定した場合に、大学の裁量により手続きを進め、手続き決裁日にて在籍を取り消すこと」とした。 一方、退学は「学生の自己都合による申し出(保証人の同意が条件)に基づき、大学にて審議し、大学が許可することにより、在籍をやめること」と説明した。 なお、学則では、学長は「性行不良で改善の見込みがないと認められる者」「学業を怠り、成業の見込みがないと認められる者」などに対し、教授会の意見を聞いたうえで退学処分をすることができると定めている。 東洋大学広報課によると、除籍になった場合は「除籍が決裁された後、保証人様宛てに除籍通知書を送付」がされ、除籍になった旨が伝えられるという。なお、「保証人様がご本人とどのように共有されるのかは、本学では分かりかねます」とした。