戦後80年にあたり、4日に沖縄県の平和祈念資料館などを訪問した天皇、皇后両陛下はこの日の夜、侍従を通じ、「沖縄戦で亡くなられた方々や戦争によって苦難の道を歩まざるをえなかった方々に思いを寄せ、平和の尊さを心に刻み、平和への願いを新たにしていきたい」との感想を公表された。 【写真まとめ】天皇ご一家が沖縄訪問 国立沖縄戦没者墓苑で供花 両陛下は、資料館で沖縄戦の凄惨(せいさん)さを伝える資料の数々を見学。沖縄訪問の経験がない長女愛子さまが同行しており、両陛下は「愛子も、苦難の道を歩んできた人々の歴史を深く心に刻んでいました」と明かした。 ご一家そろっての沖縄での戦没者慰霊は、両陛下の「次の世代にも戦争の歴史や平和への思いを引き継いでいきたい」との意向を踏まえて実現した。玉城デニー知事は記者会見で、「県および県民が平和を求める心、二度と悲しい戦争を引き起こしたくないという思いを持っていることに深く心を寄せていただいているように感じた」と話した。 玉城知事によると、県の経済状況や施策をご一家に説明した際、両陛下は組踊(くみおどり)など伝統文化の後継者育成に関心を寄せていた。泡盛の生産状況なども話題に上った。沖縄は空手発祥の地とされ、愛子さまは世界への普及状況を知事に尋ねたという。【山田奈緒】 感想全文は次のとおり。 はじめて3人そろって沖縄県を訪れることができ、うれしく思います。今日は午後に国立沖縄戦没者墓苑で花をささげ、先の大戦において激しい地上戦が行われ、多くの尊い命が失われた沖縄の人々の苦難を思い、犠牲となられた方々に哀悼の意を表しました。 平和の礎(いしじ)では、国籍を問わず、また、軍人、民間人の別なく、沖縄戦でのすべての戦没者の氏名が刻まれ、今年も新たな名前が加えられていることについての説明をうかがうとともに、眼前に広がる海を眺めながら、平和の火を実際に見て、沖縄の人々の平和に対する深い思いを改めて感じました。 平和祈念資料館では、沖縄戦に関する実物資料、写真パネル、沖縄戦体験者の証言などの展示を見て、凄惨な沖縄戦の様子や、当時の人々の苦難について、改めて理解を深めました。初めて訪れた愛子も、苦難の道を歩んできた沖縄の人々の歴史を深く心に刻んでいました。 戦争を体験された方や、遺族となられた方々のお話をうかがい、みなさんが経験された想像を絶するような苦難の一端に触れ、深く心が痛むとともに、戦争の悲惨さや平和の大切さについて、思いを新たにいたしました。 また、このような経験を後世に引き継いでいくためにつらい体験を言葉にされる戦争体験者や遺族の方々の勇気にも頭が下がります。戦後80年がたち、戦争を実際に知る世代が少なくなってきている中で、そのような戦争の記憶を次の世代に継承し、理解を広めようとされている語り部のみなさんの活動も大変意義深いものであると感じました。 ホテルでは、豆記者のみなさんに出迎えていただき、お話しできたことをうれしく思いました。中には、以前に東宮御所で豆記者としてお会いした学生さんたちもおられ、当時のことを懐かしく思い出しながら、和やかにお話しすることができました。 夕刻、玉城沖縄県知事から、県政の概要についてお話をうかがい、沖縄県が現在、取り組んでいる諸施策について理解を深めることができました。 戦後80年を迎える節目の年に、沖縄県を訪れ、沖縄戦で亡くなられた方々や戦争によって苦難の道を歩まざるをえなかった方々に思いを寄せつつ、平和の尊さを心に刻み、平和への願いを新たにしていきたいと思います。 多くの県民のみなさんにあたたかく迎えていただいたことに、感謝いたします。