◆米大リーグ ガーディアンズ5―9ドジャース(27日、米オハイオ州クリーブランド=プログレッシブフィールド)
ドジャース・大谷翔平投手(30)が27日(日本時間28日)、敵地・ガーディアンズ戦に「1番・DH」でフル出場し、3戦連発となる20号2ランを放った。20本塁打はMLB全体の一番乗りで、5月中、チーム55試合目(出場53戦目)での到達は自身最速。昨季は自己最多54発で2年連続の本塁打王に輝いたが、これでシーズン58・9発ペースとなった。逆方向へ高々上がった圧巻の一発に同僚からも驚きの声が上がった。28日(同29日)には自身初の4戦連発を狙う。
なかなか落ちてこない。2点をリードした4回2死一塁の3打席目。大谷は、先発右腕・バイビーの外角83・9マイル(約135・0キロ)を逆方向にはじき返した。角度39度、最高到達地点132フィート(約40・2メートル)の高々上がった打球は、6秒2の滞空時間を経て約5・8メートルの左翼フェンスを越えた。今季2度目、通算10度目の3試合連続弾は、MLB全体で20号一番乗りとなった。
左翼への打球角度39度のアーチは、米通算245発の中で自己最高タイ。そんな珍しい一発にロバーツ監督は驚きを隠せなかった。「完璧ではなかったけど、いいスピンがかかっていた。まるで『ヘリウムボール』のように飛んだ。地球上の誰よりもミスしても本塁打になる。彼とジャッジくらいだ」。風船に入れることでも知られるヘリウムガスにたとえて絶賛した。
9回に4号3ランを放ったマンシーも「本当にすごい。ちょっとジェラシー(嫉妬)もある。ミスショットだったのにホームランになった。普通の人間にできないことをやってのける」と目を丸くした。
まるで風船のように、大谷の状態はどんどん上向いている。5月に限ればドジャース史上最多となる13発目。MLB史上4人目の3戦連続先頭弾の偉業こそ逃したが、5月中の20号到達は自己最速で、チーム55試合目も最も早いペースだ。23年6月に記録した月間の自己最多15発も手の届くところに来ている。
20本塁打は、5年連続6度目。松井秀喜の5度を上回って日本人最多となった。好調の要因を指揮官は「ストライクゾーンをしっかり見極めている。四球を選びながら打てるゾーンはしっかり対応する。そのゾーンに入ると調子は上がる」と分析。その言葉通り2戦連続で2四球。2―0の2回2死三塁では、申告敬遠で勝負を避けられた。相手が警戒心を強めていることもあるが、選球眼も確かなものになってきている。
この日の試合前にはキャッチボールでスプリットを入念に確認。順調に調整すれば、31日(日本時間6月1日)の本拠地・ヤンキース戦前にも2度目のライブBP(実戦形式の練習)で登板する見込みだ。試合後にはロッカーが隣の山本と楽しそうに話しながら、仲良くバスへと向かった。28日には自身初の4戦連発を狙う。(安藤 宏太)
◆大谷のこの日の主な記録 ▽3戦連発 3試合連続本塁打は今年5月14日の本拠地・アスレチックス戦から16日のエンゼルス戦までに続き今季2度目でメジャー通算10度目。敵地だけで3戦連発は18年9月4~7日、21年6月27~29日以来3度目。 ▽55戦20発 ドジャースで開幕から55試合時点の20本塁打は、1951年ホッジスの21本に次ぎ、20本は2019年ベリンジャーに並んで2位。 ▽6度目20発 メジャー移籍8年目で5年連続6度目のシーズン20本塁打。日本人では松井秀の5度を上回って史上最多。 ▽5月13発目 5月の13本塁打はドジャース史上最多。5月に限らずともド軍の月間本塁打は1953年8月のスナイダー、85年6月のゲレロの15本に次いで2004年8月のベルトレ、17年6月のベリンジャーと並ぶ3位。自身でも23年6月の15本に次ぎ、21年6月と並ぶ2位。