大阪関西万博を目前に控え、タクシー業界の運転手や関係者が万博協会の対応に対して強い不満を抱いている。主な不満の理由は、輸送計画の遅れと利用者視点の欠如である。タクシー会社は万博に向けたシフトや人員配置を計画したいと考えているが、3月中旬時点でまだ乗り場運用ルールが発表されておらず、準備が進まない状況が続いている。
あるタクシー会社の役員は、「直前まで情報が降りてこない。利用者視点が根本的に欠けている」と指摘し、特にシャトルバスの運行計画については、45秒に1本運行するという非現実的な案があると批判している。さらに、渋滞や事故時の対応策がないことも問題視されている。このような状況に対し、万博協会はタクシー放射場利用に入場証の提示を義務化し、使い勝手の悪さを招いている。
大阪タクシー協会は、校舎のみの客にも入場証を求めるルールに反発したが、数ヶ月の対立を経ても解決に至っていない。また、万博による経済効果への期待も低く、運転手たちは万博で顧客が大幅に増えるとは考えていない。大阪ではタクシー台数が回復しつつある一方で、稼ぎは落ちているのが現状だ。難波の運転手は「万博の話題は地元でも少なく、盛り上がりは期待できない」と語り、関西国際空港の運転手も「現在の客の8割が外国人で、国内客中心の万博では収入が見込みにくい」と分析している。
さらに、日本型ライドシェアの推進にも矛盾を感じている運転手が多い。万博協会や大阪府はライドシェアを推進しているが、タクシー業界への配慮が不足しているため、運転士の確保が難しくなっている。主要バス会社は自社の運行を後回しにして万博に協力せざるを得ない状況にある。
タクシー運転手たちは、万博協会の無計画な交通インフラ対応や利用者不在のルール設定に対して強い苛立ちを抱いており、万博への期待よりも混乱や負担感が強いと感じている。万博が盛り上がったとしても、交通問題が顕在化する恐れがあるとの懸念も示されている。
関係者が多すぎて利害が絡み合い、何も決まらないという現状も見受けられる。運転手たちは「45秒ごとにシャトルバスを走らせるなんてありえない話だ」と口を揃え、非現実的な計画に対する不安を顕わにしている。万博そのものには興味がないが、トラブルには引かれるという声も多く聞かれる。
また、万博の運営には多くの税金が投入されているにも関わらず、回収の見通しが立たず、ただ大阪のIRカジノのインフラに消えているのではないかとの懸念も広がっている。「万博の運営を見ると、日本が先進国に落ちぶれたことを実感する」との声もあり、建築や農業の衰退と共に、国際イベントをまともに開催する力すら失いつつあるのではないかと指摘されている。
結局、万博協会の無能さがこの状況を招いているという批判が強い。特に、東京五輪の際に電通を排除した結果、運営のノウハウが失われたことが影響しているとの見方もある。万博の開催が近づく中、交通の混乱や不安がますます高まっている状況を、関係者や運転手たちは憂慮している。