ドジャース・佐々木朗希は今後どのようなキャリアを歩むのだろうか。開幕第2戦に登板したものの荒削りで不安定な状態を露呈した。早くも一部では「メジャーで安定した投球を続けるには時間を要する」という声も出始めている。
「令和の怪物」佐々木は、3月19日にカブスとの東京シリーズ第2戦(東京ドーム)に登板、3回を投げ被安打1、3奪三振5四球、1失点の投球内容だった。
「メジャー初登板、日本での凱旋試合ということもあり、多大なプレッシャーがかかる状況。投球練習時から緊張が見て取れて非常に苦しんでいた。その中でも要所では指にかかった球もあり、結果的にチームを勝利に導いたのは良かった」(MLBアジア地区担当スカウト)
MLB公式戦とはいえ「お祭り」ムード満載の今シリーズ、国内では佐々木への賛辞も聞かれた。しかし、米国では登板直後から辛辣な意見が飛び交い、「とても不安定。ひどい投球だった」と『FOX Sports』ベン・バーランダー氏は自身SNS内で酷評したほどだった。
「調子が良くない時のロウキは制球を乱して走者を背負うこともあった。同じような状況を見ているので驚きはしないし、不調でも続投して勝ち星を得ることもあった。ドジャースは、『チームの勝利のため失点を重ねる前に降板させる』という判断だったのだろう」(ロッテ関係者)
最速163キロを記録しながらも、3連続四球を与えるなど制球に苦しみ3回で56球を要した末の交代だった。前日に先発したカブス・今永昇太が4回で69球を投げ、無安打、無失点で降板したのとは印象は対照的だった。
「山本由伸(ドジャース)を含め、顔見せ登板の部分もあったが立場は異なる。山本と今永のローテーション入りは間違いないので、調整も兼ね球数もしくは回数が決まっていたはず。佐々木は内容次第では引っ張りたかっただろうが、内容が悪過ぎたので交代となったのだろう」(スポーツマネージメント会社担当者)
「常時160キロを超える真っ直ぐと消えるようなフォークボールは MLBクラス。高校時代は長い回と球数を投げていたこともあるのでスタミナも問題ない。グラウンド外を含めた環境への適応を学ぶ必要がある」(MLBアジア地区担当スカウト)
岩手・大船渡高時代の決勝での登板回避や、プロ入り後の「過保護」にも見える育成方法等、「ガラスのエース」という声も聞こえる。
「地方高校から上京して、プロ入り後は徹底的に守られてきた。マウンド上の強気な姿と異なり、寂しがりやの面があり、周囲に対しても必要以上に気を遣ってしまう。米球界は妬みやジェラシーも激しいと聞くので心配です」(ロッテ関係者)
「英語や文化が理解できるようになると、相手球団やファンからの容赦ない口撃も耳に入る。昭和時代のNPBはヤジや誹謗中傷も激しかったが、今はネット上以外では皆無に等しい。グラウンド外の打たれ強さを備えることも生き抜くための武器になる」(スポーツマネージメント会社担当者)
米国で成功を収めるためには、「投手としての技術を磨き、パフォーマンス発揮のためのコンディショニング」は必要条件。「グラウンド内外でタフに生き抜くこと」がある意味、最も重要となる。
「ロッテに対して自らの意思を貫き通し、周囲の批判にも挫けず渡米した強固なメンタルで乗り越えて欲しい」(MLBアジア地区担当スカウト) 開幕戦では山本が今季初勝利を挙げ、第2戦では大谷の第1号本塁打が飛び出した。ファンや関係者は大喜びで東京シリーズは大成功に終わったが、佐々木の課題も露呈した。ここからが正念場。さらなるレベルアップを果たさなければメジャーでの活躍は簡単なものではない。
状況によっては、もう一度マイナーから“鍛えなおす”べきという見方も。「投手としての能力に関しては素晴らしいものがあり、マイナーで学ぶべきものもあるはず」(MLBアジア地区担当スカウト)と、改めて下から這い上がることに意味があるという声もある。
「ああ見えて相当な負けず嫌いで頑固者ですから、心配ないですよ」(ロッテ関係者)という言葉を信じたい。移籍をめぐる経緯でアンチも増やした形になってしまったが、結果を残し続ければ誰もが掌返しで応援するはず。
ここから先、米国でどういった成長曲線を描くのだろうか……。“令和の怪物”が本土アメリカでドジャーブルーのユニフォームを着て活躍する姿を期待したい。