日本映画の黎明期、山中貞雄監督が遺した「鼠小僧次郎吉」三部作の第一篇「鼠小僧次郎吉-江戸の巻(1933)」を、「銀河鉄道999」のりんたろうがサイレントアニメーション化。サイレントからトーキーの時代を駆け抜け、早逝した天才監督への熱き思いを込めた恋文的作品。キャラクターデザインは「AKIRA」の大友克洋と『YAWARA!』の兼森義則。音楽を「マルサの女」の本多俊之が担当。弁士は『Dr.スランプ アラレちゃん』の声優、小山茉美。
ストーリー
江戸八百八町が夜の闇に包まれると屋根裏でガサゴソとする奴が現れる。大富豪から富をいただき貧しい庶民にばら撒く義賊、ご存じ鼠小僧次郎吉の登場だ。夫に先立たれ、小さな我が子と辛い日々を送る町人お鈴。そんなお鈴を利用して鼠小僧の正体を暴こうとする梵字安五郎と長五郎。そして罪を憎んで人を憎まず、経験と勘で補物名人と謳われる岡っ引き勘右衛門。江戸の街を舞台に繰り広げられる哀愁を誘う人間ドラマ。映画監督、山中貞雄はそんな夢をみている……。