ドジャース・大谷翔平が史上初DH専任でMVP、真美子夫人&愛犬デコピンと喜び「みんなでつかみとったもの」

ドジャース・大谷翔平投手(30)が21日(日本時間22日)、全米野球記者協会(BBWAA)が選出するナ・リーグの最優秀選手(MVP)を受賞した。ア・リーグはヤンキースで58本塁打&144打点で2冠王に輝いたアーロン・ジャッジ外野手(32)が満票での受賞となった。真美子夫人、愛犬のデコピンと同席した中継内では「みんなでつかみとったものだなと思います」と話した。 受賞発表前には盗塁が増えた要因については「(シーズン前に)目標の数字はなかった。盗塁は強化していることのひとつだったので増やしたいとは思っていた」と話し、6月途中から1番に定着したことについては「シーズン途中からリードオフになったので、あまり経験はないので、どの打順でも変わらずにアグレッシブに変わらず過ごしたいと思っていた」と振り返っていた。 MVPを受賞するのはエンゼルス時代の21、23年に続いて2年連続3度目。3度の受賞は、7度受賞のバリー・ボンズに続いて、アレックス・ロドリゲス、アルバート・プホルス、マイク・トラウトらに並んで史上2位タイとなった。指名打者(DH)のみの出場での受賞は史上初。ア・リーグ、ナ・リーグの両リーグで受賞するのはフランク・ロビンソン(1961年レッズ、66年オリオールズ)以来2人目で、移籍してリーグを変えての2年連続受賞は史上初の快挙だ。 圧巻の活躍を見せた1年で、文句なしの受賞となった。昨年12月に、自身初のFA(フリーエージェント)で10年総額7億ドル(約1022億円=契約発表時のレート)という史上最高額契約でエンゼルスからドジャースへの移籍を決断。昨年9月には右肘手術を受けて今季はリハビリを続けながら打者に専念し、3月の開幕直後には日本ハム時代からともに戦ってきた水原一平元通訳を違法賭博の関与や多額の窃盗などの疑いで失うなど重圧、不安要素もあった中で、全てを吹き飛ばした。 開幕直後こそなかなか本塁打が出ずにもがいた時期もあったが、終わってみれば54本塁打、130打点の2冠王。打率3割1分と59盗塁もリーグ2位で、最終戦まで3冠王を争う大活躍を見せた。史上6人目となる「40―40」(40本塁打&40盗塁)を8月の段階で早々と達成すると、史上初の「50―50」も9月19日には達成した。日本人史上初となるトリプルスリー(3割、30本、30盗塁)も軽々クリア。21、23年のMVPは投打の二刀流での活躍が評価された側面もあったが、今季はむしろ守備に就いていないことがマイナスになりながら、圧倒的な成績でMVPに輝いた。 さらに、昨季まではいくら活躍してもチームが勝てないもどかしさとの戦いもあったが、メジャー7年目にして初めて地区優勝を果たしてポストシーズンに進出。地区シリーズでパドレス、リーグ優勝決定シリーズでメッツを破ってリーグ優勝を決めてヤンキースとのワールドシリーズに進んだ。第2戦で二盗を試みた際に左肩を脱臼しながら強行出場を続けると、全試合にフル出場してワールドチャンピオンにも立った。 シーズン終了後には左肩を手術。投手のリハビリに影響が出て、来季の投手&二刀流復帰へのスケジュールにが再考される可能性は高いが、来年2月のキャンプに参加することは問題ないと発表されている。来季の開幕カードは3月18、19日に東京ドームで行われるカブス2連戦。3年連続で4度目のMVP受賞となれば、史上単独2位となる。次なる新たな歴史は「TOKYO」からスタートする。 ▽大谷「MVPを獲りたいなみたいなかんじでシーズンに入ってはいないので、本当にドジャースという新しいチームに来て、早くチームの一員として、ファンの人たちもそうですし、チームの人たちに認められたいなという思いで。特に前半戦はそういうかんじでやっていまいたね。1番はワールドシリーズで勝てたことが1番目指していたところではあるので、本当に僕がチームを代表してもらった賞だと思っているので、また来年も引き続きチームみんなで頑張れるように、今リハビリをしているので、また復帰してシーズン頑張りたいと思っています。(投手復帰予定の来季へは)まずは復帰して、しっかりともう1度、さらに強くなったパフォーマンスっていうのを出して、自信を持ってマウンドに上がれるのがまず目標かなと思います」 ◆大谷の今季主な成績(カッコ内はリーグ内順位) ▽試合  159(7) ▽打席  731(1) ▽打数  636(3) ▽得点  134(1) ▽安打  197(2) ▽二塁打 38(6) ▽三塁打 7(4) ▽本塁打 54(1) ▽打点  130(1) ▽四球  81(2) ▽三振  162(15) ▽盗塁  59(2) ▽盗塁死 4(29) ▽打率  ・310(2) ▽出塁率 ・390(1) ▽長打率 ・646(1) ▽OPS 1・036(1) ▽死球  6(39)…

大谷翔平「打席より緊張」 前人未到の「50―50」も見える中で超異例の始球式に挑戦

初回、42号ソロを放った大谷翔平(AP) ◆米大リーグ ドジャース6―4オリオールズ(28日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム) ドジャース・大谷翔平投手(30)が28日(日本時間29日)、本拠地・オリオールズ戦に「1番・DH」で先発出場。愛犬デコピンと超異例の1人と1匹による始球式を大成功させると、直後に今季4本目となる先頭“ご褒美弾”、さらには2盗塁の大暴れで史上2人目の「42―42」に到達した。 愛犬の奮闘にワンダフルなひと振りで応えた。0―0の初回先頭。大谷は21年サイ・ヤング賞右腕、バーンズの外角スライダーに体勢を崩されながらも、最後は右手一本で運んだ。打球速度102・2マイル(約164・5キロ)、角度33度、飛距離391フィート(約119・2メートル)。3試合ぶりの一発は右翼席に飛び込む42号先制ソロ。米通算10本目の先頭弾となり、「1打席目から良かったです」。二塁付近でブルペンに、三塁付近ではベンチに向かって自ら考案の「デコピンポーズ」を連発した。 「打席より緊張しました」というのが試合前の“始球式”だった。大谷に抱えられ、背番号17のデコピンが登場。マウンドでの「待て」から、ボールをくわえてホームの主人の元へ一直線で駆けた。“ストライク”が完成し、1人と1匹でハイタッチ。約3週間前から練習し、「1回ここに来て予習もしました」と球場でのリハーサルも済ませていた。「素晴らしかったです。いいおやつでも買ってあげたいと思います」と笑った。「家族」と表現するデコピンに力をもらった。 マウンドで愛犬・デコピンに声をかける大谷翔平(AP) 「デコピンスパイク」装着の足でも魅せた。3回1死一塁では右前安打で2試合連続、今季47度目のマルチ安打とすると、その後二塁から今季41盗塁目となる三盗を決めた。右膝につけていたばんそうこうも取れ、4試合ぶりのスチール。無死一塁から一ゴロで塁に残った5回は盗塁の“おかわり”となる二盗。42本塁打、46盗塁を記録した98年のA・ロドリゲス(マリナーズ)以来史上2人目の「42―42」に達し、この日3得点で自己最多の104得点とした。 これでシーズン51本塁打&51盗塁ペース。前人未到の「50―50」も現実味を帯びてきた。不振と言われた8月も気付けば10発、14盗塁。MLB公式サイトのサラ・ラングス記者のXによると、月間「10―10」は史上8人目の快挙だという。大谷は「両方できるに越したことはないので。全体的に良かったと思います」と素直にうなずいた。 ナ・リーグ西地区で首位のドジャースは同2位のDバックスと3ゲーム差を死守。ロバーツ監督は「犬があれほど訓練されていることに非常に感心したよ。しかし、翔平の犬だ。驚くべきことは何もない」と上機嫌で「大きなイベントがあると、彼はそれをさらに大きなものにする」と大谷をたたえた。スイートルームで観戦した真美子夫人も同様に、支えてくれる存在が背番号17を強くする。(中村 晃大)

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