きょう午後4時13分ごろ、トカラ列島近海を震源する地震があり、震度6弱を十島村悪石島で観測しました。震源の深さ約20キロ、地震の規模を示すマグニチュードはM5.5と推定されます。東京大学地震研究所 笠原順三 名誉教授の解説です。 【詳細】各地の震度一覧・最新LIVE ■海底火山活動か 震度6弱の原因は 井上貴博キャスター: 2日の気象庁の会見でも「メカニズムがわからない」という話がありました。今、言えることはあるでしょうか。 東京大学地震研究所 笠原順三 名誉教授: トカラ列島近海でマグマによって起きている地震活動の中で、きのう3時の地震は、非常に浅い地震で、ほとんど海底付近まで達していた。 特にきのうは、震度5などが集中し、それがさらに震度6弱まで達したということ。もう少し地震活動が続くというふうに考えられるので、十分注意する必要がありますね。 井上キャスター: 今は地震活動が活発になっているのは間違いなさそうだということですが、考えられる原因としては、どう見ていらっしゃいますか。 東京大学地震研究所 笠原順三 名誉教授: 深さ30キロぐらいから、火山性のマグマがだんだん上がってきて、海底付近まで達していると。 そして、本当に海底に達すると、マグマが海底に噴出するということがありえて、そうすると「海底火山活動」ということになる。そこまでちょっと心配しないといけなくなってきたんじゃないですかね。 ■「最大でも6ぐらい」根拠について 出水麻衣キャスター: この海底火山活動が起こると、何が想定されるのでしょうか? 東京大学地震研究所 笠原順三 名誉教授: 1989年に、伊東沖群発地震というのがあり、伊豆半島の伊東です。伊東の先のところで海底噴火したんですね。 群発活動がずっと続いて、それでどんどん活動が活発になって、特に海底の調査を海上保安庁が船でしていました。 その調査で、船が200mぐらい行ったんでしょうか。そしたら海底噴火をして、船のすぐ後ろで噴火したということが起きたんですよ。 ひょっとすると、そこまでいくか、心配しすぎかもわかりませんが、今の活動を見てるとそこまで心配した方がいいのではないかというふうに思います。
井上キャスター: 東京大学の笠原順三名誉教授の話では、一つのリスクとして、1989年の伊東沖群発地震のときは、海底噴火が起きたと。海底噴火が起きると、海上保安庁など、調査を行うための船もなかなか近づくことができない。 もしかすると、そういったことに十島村の近海がなりうるリスクがあるという理解でよろしいでしょうか? 東京大学地震研究所 笠原順三 名誉教授: そうですね。 出水キャスター: 今、この地域の皆さんができる備えは、どんなものでしょうか? 東京大学地震研究所 笠原順三 名誉教授: 震度6が最大というふうに思いますが、地割れや建物倒壊も起こるかもわからないし、そういうことに関しては、十分注意をする必要があります。 井上キャスター: 率直な疑問ですが、きのう、気象庁の方も言っていましたが、笠原さんも「最大でも6ぐらいでは」という、その根拠はどういうものですか? 東京大学地震研究所 笠原順三 名誉教授: 群発地震活動というのは、とんでもなく大きな地震が起きないんですよ。 震度6、マグニチュード6クラスが最大であろうと。これが沈み込みの地震になると、当然マグニチュード7や8などになりますけれども、火山性の群発活動というのは、最大でもマグニチュード6クラスであろうと。 ただ、ちょっと違うのは伊豆大島で起きる地震は、火山ですけども、あのときはマグニチュード7の地震が起きて、伊豆大島近海の地震がありましたが、そこまでは至らないだろうというふうに思います。 井上キャスター: 先生は、沈み込みの地震である場合は、とても大きい揺れが生じるリスクがあるが、群発地震は最大でも「マグニチュード6」クラスだろうとおっしゃいました。 もう一つ、津波に関してはどうご覧になっていますか。 東京大学地震研究所 笠原順三 名誉教授: 例えばマグニチュード6クラスで特に震源が浅いと、海底の地殻変動を起こすので、津波も最大数十センチぐらいになるだろうと思います。ただ、海底噴火すると、溶岩が海底に出て津波が発生しますので、津波のリスクも多少はあるかもしれませんね。
井上キャスター: 海底噴火すると津波が発生しやすいわけですね。