天皇、皇后両陛下と長女の敬宮(としのみや)愛子さまが沖縄入りされた。両陛下は折に触れて先の大戦を象徴する場所を訪ね、人々の苦難を胸に刻まれてきた。戦後80年の節目に初の沖縄ご訪問となった23歳の愛子さまをはじめ、その精神は若い皇族方にも受け継がれている。 【写真をもっとみる】国立沖縄戦没者墓苑の供花台へ向かわれる天皇、皇后両陛下と長女の敬宮愛子さま お三方は4日午後、沖縄県糸満市の県平和祈念資料館で沖縄戦の関係者とご懇談。米軍の攻撃で家族3人を目の前で亡くした女性に、天皇陛下は「おつらく、大変なご苦労をされましたね」と語られ、愛子さまも「想像を絶するお話を聞かせて頂きました」と寄り添われた。 愛子さまと沖縄との「縁」が生まれたのは昭和37年に始まった沖縄と本土の子供らが互いの土地を行き来し記事を書く「豆記者交歓」だった。 当時皇太子だった上皇さまと、上皇后さまが毎年のように子供らと触れ合われ、平成に入ると両陛下がご継承。愛子さまも幼い頃から両陛下に連れられ、交流を深められた。側近らによると、陛下が豆記者から受けとった沖縄の歴史についての書籍を愛子さまに薦められたこともあった。
今年2月、陛下は65歳の誕生日に際した記者会見で「愛子にも、戦争によって亡くなられた方々や、苦難の道を歩まれた方々に心を寄せていってもらいたい」と述べられた。側近によると陛下はこの段階で沖縄への慰霊の旅に愛子さまが同行されることを願われていたとみられ、皇后さまも同じお考えだったという。 先の大戦に向き合い続けてこられた上皇ご夫妻、それを引き継がれた両陛下。そんな姿を見ながら成長された愛子さまにも、平和への思いが息づいている。 令和4年の成年に際しての記者会見では「人と人との交流が、国や地域の境界を越えて、お互いを認め合う、平和な世界につながってほしいと願っております」との陛下のお言葉を引用し「私もこのお考えと同じ思いでおります」と語られた。 秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さまも今年2月、シベリア抑留の歴史などを展示する「舞鶴引揚記念館」をご訪問。宮内庁幹部は「皇族方は戦争の惨禍、平和の尊さを常に思われている。若い世代の皇族方も『継承』への強い願いを持たれているのではないか」と話した。(中村昌史)