◆MLB 東京シリーズ by Guggenheim カブス3―6ドジャース(19日・東京ドーム)
全神経を野球にだけ研ぎ澄ましている印象もある大谷だが、周囲への目配り、気配りも忘れないだけの人間性を兼ね備えていることが、チームメートやファンから愛される理由だ。
米アリゾナ州グレンデールで行っていた2月のキャンプ中のある日。女性の球団スタッフが髪形を変えてクラブハウスに登場すると、着替えをしていた大谷が手を止めて英語で「今日は髪形が変わったね!」と、わざわざ声をかけた。連日、大谷とは顔を合わせているスタッフとはいえ、チームの看板選手でもある背番号17から英語で話しかけてもらい、褒められたことがとてもうれしかったようで、顔を真っ赤にしていた。
さらに、完璧な着飾った紳士ではなく、ちょっと抜けていてユーモアがあるところも、周囲をとりこにする理由の一つ。女性スタッフとの会話も終わり間際、大谷の口から出たのは「昨日まではどんな髪形だったっけ?」。バラエティー番組であれば全員が椅子から転げ落ちそうな“オチ”だが、大谷の周囲から笑顔が絶えない理由がよく分かる、たった30秒ほどの出来事だった。
そんな愛されるべき存在の大谷だから、自然にナインもついてくる。日本開幕シリーズでは、リーダーとして食事会も開催するなど存在感も見せた。もちろん聞かれれば同僚に日本語やおすすめのアニメも教えた。ベッツ、フリーマンが不在となった開幕2戦。当然のようにグラウンドでも結果を出してチームを引っ張った。移籍2年目。今季は「リーダー」としての大谷からも目が離せない。(安藤 宏太)
5回1死、1号ソロ本塁打を放ちミゲル・ロハス(右)とデコピンポーズをする大谷翔平(カメラ・中島 傑)