昨年12月から行方不明になっている川崎市川崎区の岡崎彩咲陽(あさひ)さん(20)に繰り返しストーカー行為をしていた男が5月3日、滞在先の米国から帰国した。情報をキャッチして羽田(東京国際)空港で待機していた神奈川県警の捜査員が身柄を確保した。一方、同区内の男の自宅から4月30日の捜索で見つかった遺体は司法解剖の結果、若い女性で死後約2ヶ月経過していたことがわかり、DNA鑑定などで3日、岡崎さんであることが判明した。県警は同日中に死体遺棄容疑で逮捕状を用意し、男を逮捕した。 〈画像〉モザイクがとれたストーカーの元彼氏、白井容疑者の少年時代の写真、非通知だらけの電話履歴、割られた窓ガラスなど
5月1日の午前3時、岡崎さんの父に白井容疑者の兄から電話が…
男は川崎区の職業不詳・白井秀征容疑者(27)。県警は同居している母親からも事情を聞いている。 一連の事件を巡っては、県警川崎臨港署が彩咲陽さん失踪を「事件性なし」と判断して放置するなど後手の対応に回っていたと家族が主張していた。この間、白井容疑者は同居する母親とSNSで米国逃亡に関して相談していたことも判明し、事情を察知した彩咲陽さんの父親が同署に伝えていた。集英社オンラインは♯1~♯4でこれらの経緯について詳報したが、白井容疑者は4月中旬に渡米していたとみられる。 「遺体は床下のボストンバッグの中で一部白骨化した状態で発見されており、検視では性別も不明でした。司法解剖で若い女性とわかったものの、腐敗や白骨化が進んで死因の特定には至らなかった。しかし、死亡時期は3月初旬ごろとみられ、彩咲陽さんは昨年12月20日に失踪してから約2ヶ月は生きていたことになる。 家族は失踪2日後に『彩咲陽は白井に誘拐された可能性が高い』と訴えて川崎臨港署に捜索願(行方不明者届)を出していますから、初動捜査を間違わなければ彩咲陽さんは元気な姿で保護されたかもしれないと家族が考えてしまうのは不思議なことではありません。今後は捜査とともに責任追及の行方も注目されるでしょう」(社会部デスク) 渡米した白井容疑者がこのタイミングで帰国した経緯について、一連の事件の相談を受けて岡崎さんの家族とともに“独自捜査”をしてきた元兵庫県警の飛松五男さんははこう語った。 「白井には兄と姉がいる。姉はカリフォルニア在住で、アメリカに逃げた白井はこの姉の手配で身を潜めとったはずや。兄の方は『弟なら拉致をやりかねない』と、失踪したアサヒさんを必死で探していた岡崎のお父さんを一時は手伝っていたんだが、途中から非協力的になって関係が切れた。 だがその兄から、4月30日夜に始まった家宅捜索の途中、5月1日の午前3時に岡崎さんのお父さんに電話があったんだ。遺体が出たことを知ったのかどうかはわからないが、その時間に電話してくるのは普通じゃないから、ピンときたお父さんは『弟の居場所を教えてくれ。姉が住むアメリカだろ』とカマかけたんだよね。 白井の兄貴は気圧(けお)されて『わかりました。調べてお知らせします』と返事して、翌日に『もう航空券を用意して帰国の段取りをしました』と電話してきたんだ。どうも白井の姉ちゃんも白井を説得したようだ」
警察は「電話はありませんでした」
県警は白井の身柄確保についても岡崎家や協力者の努力の成果を横から「ごっちゃん」した形にも見える。午後1時半ごろの帰国便に合わせ、岡崎家や彩咲陽さんの友人ら十数人が白井容疑者を羽田空港で待ち構えていたが、県警は保安検査区域で白井容疑者に任意同行を求め、目立たないよう捜査車両に乗せて横浜市の県警本部に移送したとみられる。 彩咲陽さんの父の古くからの友人という女性は、集英社オンラインの取材に肩を震わせながらこう答えた。 「一番許せないのは、アサヒちゃんが失踪した後に家族が川崎臨港署に『警察に何度も相談してるでしょ』って問いただしたのに『電話はありませんでした』と嘘をついたことです。それで家族は通話記録を取り寄せて『こんなに電話してるじゃないか。これはなんだ!』と迫ったんです。 とにかくこの警察署の対応はおかしい。全部私たちが言っていた通りのことが起きていて、それでアサヒちゃんは亡くなった。本当に悔しいです。あまりにおかしいので、臨港署と白井家は何か関係があるんじゃないかと私たちは疑っています。署名もこれからもっと集めます。このままでは済ませないです」 神奈川県警は記者クラブの取材に対し「必要な措置を講じていた」との見解を示し、ストーカー被害については「受けていた認識はない」とした。 県警と岡崎さんの主張の間には大きな溝がある。遺族や友人が納得する日はくるのだろうか。 ※「集英社オンライン」では、今回の記事についてのご情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。 メールアドレス: [email protected] X(旧Twitter) @shuon_news 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班