「薬物を盛って傷害罪が適用されるなんて、よほどの被害があったんじゃないか……」──メディア関係者の間ではいま、こんな声が挙がっている。俎上にのっているのは、4月8日、地元テレビ局「琉球放送(RBC)」が報じた、同局の元アナウンサー起訴の一報である。 【写真】「慶応卒の評判の美人アナ」同僚アナに薬を盛った大坪彩織元アナの振袖姿、自身の性格について言及するプロフィールほか
「この日の昼ニュースで、元アナウンサー・大坪彩織被告(24)が傷害罪で起訴されたことが報じられました。報道の発端となったのは、同じく沖縄の地元紙・琉球新報が伝えた同日付の朝刊のスクープ。 『 RBC元アナウンサーの女を逮捕・起訴 睡眠薬入り飲料を同僚に飲ませた疑い』 との見出しで、2024年1月、同僚社員に複数の薬物を無断で混入させた飲料を飲ませて、急性薬物中毒などを負わせたとして、傷害の罪で那覇地検に起訴されたことを報じたのです。事件から1年あまりがたった今年3月10日に沖縄県警が逮捕し、同月31日に那覇地検が起訴に踏み切りました」(地元メディア関係者) メディア関係者の間ではその犯行の“異様さ”にも注目が集まった。
「まず手口が巧妙でした。同僚が気を許して口を付けさせることを狙ったのか、若い女性が好みそうなドリンクに薬を仕込ませていた。冷たい飲み物だったようで、溶けないことも見越してか、薬を細かく砕いて混入するなど手が混んでいた。執念めいたものさえ感じさせる犯行でした」(事情を知る関係者) その末に大坪被告にかかった容疑は「傷害罪」。有罪判決が出れば15年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられる重罪だ。 「大坪被告は、被害者が急性薬物中毒と意識障害を起こして救急搬送されるという、重大な結果を引き起こしています。薬物を“盛る”行為は、被害状況によってさまざまな罪が成立する可能性があります。例えば、相手に特段の怪我や体調の変化がなかった場合は暴行罪が適用されることが多いでしょう。しかし今回は、被害者が明確な変調をきたしたことで、暴行罪よりも重い傷害罪で起訴されたのでしょう」(前出・メディア関係者) こうした罪の重さを考えれば実名報道に違和感はないが、実は当初、地元メディアは匿名で報じていた。前出の琉球新報では大坪被告は「元アナウンサーの女」とされている。そもそも地検は大坪被告の起訴に当たり、『20代の女』と氏名を秘匿していたという。
「記者クラブ加盟社に対する捜査当局の事件広報は“実名広報”が基本ですが、被疑者の刑事責任能力が問われる事件や、性犯罪事件など被害者のプライバシー保護が必要となる事件では匿名にすることもあります。今回は、事件の被害者が加害者の同僚であることも踏まえ、特別な配慮をしたものとみられます」(同前) 琉球新報に掲載されているRBC側のコメントも、被害者保護を尊重した内容になっている。 「本件は、被害者保護などを理由に匿名とされているものと認識しており、詳細なコメントは差し控えますが、捜査機関による調査に全面的に協力して参ります」 しかしその翌日のRBCが報じたニュースに、地元のメディア関係者が驚いた。なんと前日に報じられたコメントから一転、事件報道で大坪被告の実名と顔写真を公開したのだ。 「 “身内”の不祥事を、被害者保護の姿勢を崩してまであえて実名報道したことに、地元メディア関係者の間では波紋が広がりました。RBCは公式サイトで『当社としては捜査機関による調査に全面的に協力するとともに、引き続き従業員および関係者の安全とコンプライアンスの徹底を最優先とした取り組みを進めてまいります』といったコメントも発表しています。 匿名で報じると憶測が一人歩きして、職員の業務に差し障りが出るのではないかといった判断もあったようです。ただあまりに突然の方針変更で、疑問を持った関係者が多かったのも事実です」(同前) 別の地元メディア関係者は、「かつての身内に対してあまりに“ちむひじるぅ(冷たい)”なんじゃないか」とも呟いた。沖縄のメディア界が揺れた事件と報道。今後の大坪被告の公判にも注目が集まっている。