ドジャースの大谷翔平
ナ・リーグのMVP投票権を持つ30人の一人で、フリーランスとしてニューヨーク・タイムズ紙などで健筆をふるうスコット・ミラー記者が、大谷に票を投じた理由などを明かした。(取材構成・丹羽政善通信員)
8月には、ほぼ決めていた。MVPを選ぶことは、記者にも重圧がかかる。悩むことも多いが、今回は簡単だった。それぐらい、大谷の活躍は圧倒的だった。
三冠王の可能性もあった打撃主要3部門の数字だけでなく、59盗塁も決め手だった。7月にタイガースなどで監督を務めたジム・リーランド氏が野球殿堂入りした。式典の際に話をした際、「翔平があんなに走塁能力に優れていたとは知らなかった」と驚いていた。監督生活22年、3499試合を指揮してきた玄人でさえ言葉をなくしてしまう。それだけでも十分、今年の受賞の説明がつくのではないだろうか。
個人成績だけが投票理由ではない。ベッツは左手の骨折で2カ月ほど離脱。フリーマンも子供の病気で戦列を離れた。翔平は離脱することなく出場し続け、ドジャースを両リーグを通じての勝率1位に導いた。
MVP最終候補者のリンドア(メッツ)とマルテ(ダイヤモンドバックス)が終盤に故障して試合を欠場しなければ、票が割れていたのでは-という見方もある。だが、その2人が故障離脱をしなかったとしても、結局は翔平にはかなわなかったのではないか。
来年、翔平は投手としても復帰する。今年のように多く、盗塁することはないかもしれない。ただ投打で過去3年のような活躍をされたら、MVPレースでは誰も及ばないだろう。