2026年、北中米で共同開催されるサッカーワールドカップアジア最終予選の第6戦で日本はアウェーで中国に3対1で勝ちました。勝ち点を「16」に伸ばし、次の試合に勝てばほかのチームの結果にかかわらず8大会連続の本大会出場が決まります。
アジア最終予選は各グループの6チームが総当たりで戦い、上位2チームが北中米の3か国で共同開催されるワールドカップの出場権を獲得します。日本はここまでの5試合を4勝1引き分けでグループ首位に立ち、19日夜、アウェーの第6戦で中国と対戦しました。前半は球際で激しくボールを奪いにくる中国に対し、思うように攻撃の形を作れませんでしたが、39分、コーナーキックを小川航基選手が頭で合わせて先制しました。アディショナルタイムにもコーナーキックから最後は板倉滉選手が押し込んで、セットプレーから2点をあげて折り返しました。
後半は開始早々に中国に1点を返されましたが、日本は9分に伊東選手のクロスを小川選手がまたも頭で合わせてこの試合、2得点目をあげ、再び中国を突き放し、3対1で勝ちました。日本はこれで6試合負けなしの5勝1引き分けとして、勝ち点を「16」に伸ばしました。次は2025年3月にホームでバーレーン、サウジアラビアと相次いで対戦しますが、バーレーンとの第7戦に勝てば、ほかのチームの結果にかかわらずグループの2位以上が確定し、8大会連続の本大会出場が決まります。
森保監督「みんなのエネルギーで勝てた」
森保一監督は先発メンバーを前の試合から5人入れ替えたことについて、「最終予選は1試合1試合強度が高く、特にインドネシア戦は厳しい気候の中で戦ったので、フレッシュな選手たちで、チームの総合力で戦っていこうと思った」と狙いを説明しました。そして、「全員ができることを準備して控えの選手やスタッフを含め、みんなのエネルギーで勝てた」と手応えを口にしていました。
小川航基「先制点がカギになると思っていた」
先制点を含む2ゴールをあげた小川航基選手は「非常に苦しい時間帯が続いて、先制点がカギになると思っていた。2点目はハーフタイムに伊東選手がボールを持った時に自分がいい動きをするとコミュニケーションを取っていたので、それが形になってよかった」と振り返りました。
板倉滉 決勝点の場面「ボールが来ると思って信じて入った」
コーナーキックから、味方が落としたボールを頭で押し込んで、決勝点となる2点目を決めた板倉滉選手は「練習通りだった。ボールが来ると思って信じて入った」と代表でおよそ3年半ぶりとなる自身のゴールを振り返りました。インドネシア、中国とのアウェー2連戦については「この2試合は想定通り難しかったが、連勝できて、スタジアムに応援に来てくれた人と勝利を喜び合えてよかった。反省するところは反省して、次の試合に向けて頑張りたい」と笑顔を見せていました。
伊東純也 2点目の場面「練習どおりのいい形」
最終予選で初先発となった伊東純也選手は、自身が蹴ったコーナーキックから得点につながった2点目について、「練習どおりのいい形だった。アウェーの難しい試合ではセットプレーなど、ひとつのチャンスをしっかりとものにすることが大事なのでよかった」と振り返りました。クロスボールで3点目をアシストした場面については、「前半よりもスペースが空いてきたので、1回のサイドチェンジからうまく崩してクロスまで持っていくことができた」と話しました。
久保建英「相手の守備陣の動きが速くて驚いた」
先発出場した久保建英選手は、攻撃の組み立てに苦しんだ前半について、「とにかくスペースが狭かった。相手の守備陣の動きが速くて驚いた」と振り返りました。先発メンバーを5人入れ替えて勝ち切ったことについては「ボランチに入った田中選手がビルドアップのところで何本もよいパスを出していた。誰が試合に出てもいい試合ができることを証明できたと思う」と話しました。
《グループC 順位》
1.日本 勝ち点16 5勝1引き分け 得失点差+202.オーストラリア 勝ち点7 1勝4引き分け1敗 得失点差+13.インドネシア 勝ち点6 1勝3引き分け2敗 得失点差-34.サウジアラビア 勝ち点6 1勝3引き分け2敗 得失点差-35.バーレーン 勝ち点6 1勝3引き分け2敗 得失点差-56.中国 勝ち点6 2勝4敗 得失点差-10
厳しい展開も着実に勝ち点3
7対0。日本が9月のホームでの初戦で中国に大勝したスコアである。この試合も楽な展開になるだろうと予想するのが普通だ。だが、そうはならなかった。15日のインドネシア戦から先発5人を入れ替えて臨んだアウェーの戦い。アウェーはアウェーでも、森保監督が「超アウェー」と力を込めて表現したとおり、スタンドを埋め尽くした中国サポーターでスタジアムは赤一色に。日本の国歌斉唱の時間には音楽がかき消されるほどのブーイングが起きた。なにより直近の2試合で連勝し、勢いに乗る中国代表が大敗した初戦とは見違えるような素早い連係や球際での厳しさをみせる。スペイン1部リーグで、世界トップレベルのサッカーを体感している久保建英でさえ、「相手の守備陣がスライドする動きが速くて驚いた。とにかくスペースが狭かった」と評価したほど中国の守りは固く、実際、日本は前半、ボールはキープするものの決定的なチャンスを作れず攻めあぐねる時間が続いた。それでも、グループ首位を独走する理由を前半のうちに証明する。前半39分、久保のコーナーキックにフォワードの小川航基が完璧なタイミングで走りこみ、ヘディングシュートで先制点。さらにアディショナルタイムにも今度は伊東純也のコーナーキックを町田浩樹がファーサイドに落とし、飛び込んだ板倉滉が押し込んで追加点をあげた。思うような形が作れなくてもわずかな時間でセットプレーから2得点。特に2点目は板倉が「練習通り」と振り返った狙いどおりのプレーで日本の攻撃の幅の広さを示したゴールだった。後半開始早々に中国に1点を返されるものの、その直後、左サイドの中村敬斗が正確なサイドチェンジで中国の守備を揺さぶり、右サイドに起点を移すと伊東のクロスボールにマークを外した小川が再び頭でたたき込み中国の追い上げムードを断ち切った。小川はこれで最終予選、チームトップの4ゴール。けがで欠場した上田綺世の不在を感じさせない見事な活躍をみせた。前半は苦しい展開のなかセットプレーでゴールをこじあけ、後半は「個の力」と連係プレーを融合させて主導権を握り、勝ちきる。この試合も日本の実力を選手たちがピッチでしっかり表現した一戦となった。