大阪の有名進学校で、男子高校生がカンニングの指導を受けた直後に自ら命を絶つという痛ましい事件が発生し、両親が学校側を訴える裁判が進行中である。この事件は、教育現場における生徒指導の在り方に対する深刻な警鐘となっている。
2021年12月、優さんは期末試験でカンニングが発覚し、学校側の指導の中で「自らを卑怯者」と表現させられたという。指導の2日後、彼は命を絶った。優さんの両親は、指導内容が不適切であり、それが息子の自殺を招いたと主張している。学校側は、指導の方法には問題があったと認めつつも、自殺の直接的な原因とは認定できないとの立場を貫いている。
この裁判は1年以上にわたり続いており、双方の主張は依然として対立したままである。学校は、同様の指導を受けた他の生徒が自殺をしたことはないとし、予測が困難だったと主張している。しかし、指導内容に疑問を呈した第三者委員会が設置され、その結果、指導方法の見直しが求められている。
文部科学省は、2022年に生徒指導の手引きを12年ぶりに改定し、不適切な指導が自殺の引き金になる可能性があることを初めて明記した。教育現場では、「指導したら損」という雰囲気が広がっており、生徒や保護者からの強い追及によって教師たちが疲弊している実態が浮き彫りになっている。
教育関係者の中には、教師の指導が生徒のメンタルヘルスに与える影響を真剣に考える必要があるとの意見もある。「死に追い込むような指導はあってはならない」と語る声もある一方で、指導の重要性を訴える教師も多い。指導が過度に厳しいと、生徒が萎縮し、教師が指導を避けるようになる懸念も指摘されている。
ネット上では、教育の責任を家庭に求める意見も多く、親の教育やしつけの不十分さが問題の根底にあるとの指摘がなされている。学校は集団生活や学習の場であり、基本的なしつけは家庭で行うべきだという声も上がっている。
この事件は、生徒指導のあり方や教育全般に対する深い議論を呼び起こしている。今後、教育現場の改革が求められる中で、教師と生徒、そして家庭との関係性がどのように変わっていくのかが注目される。