イギリスにおける言論の自由が静かに終焉を迎えつつあるという事実が、最近の調査によって明らかになりました。ポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)の影響が広がり、社会は思想警察による統制が強まっていると指摘されています。現在、一般市民のSNSに対する検閲にとどまらず、芸術や文化の領域においても異なる意見を口にすることがキャリアに致命的な影響を与える時代となっています。
2020年以降、イギリスではこのような異常な空気が急速に広がり、今年発表された「フリーダム・イン・ザ・フィータ」による報告書では、芸術文化関係者の84%が社会的テーマについて自由に発言できないと感じ、80%が意見表明に伴う嫌がらせや脅迫を経験したと回答しています。また、78%が保守的な意見を発信することができないという意識が蔓延していることが明らかになりました。
具体例も少なくありません。スコットランドのアーティスト、ジェニー・リンジー氏は、性別に関する慎重な発言をしただけでイベントから排除され、仕事を失い、心の健康を崩し、2023年には事実上の引退に追い込まれました。また、ハリー・ポッターの著者であるJ.K.ローリング氏も、キャンセル運動の一環として標的にされていることが指摘されています。さらに、人気コメディ番組の脚本家であるグレアム・リネシ氏も、ジェンダー問題に関する疑問を表明したことで業界から追放される事態となっています。
このような状況は創造性にも深刻な影響を及ぼしています。あるアーティストは、SNSでの投稿を理由に展示から追放され、別の作家は許されない意見を発信したために契約を打ち切られるという事例も報告されています。多くのアーティストが自己検閲を強いられ、自分らしく作品を作れないという精神的な圧迫を感じています。
しかし、すべての人々が沈黙しているわけではありません。報告書によると、89%が芸術には真実を語る責任があると考え、3/4が表現の自由を守るための改革案を持っていると示しています。フリーダム・インザーやフリースピーチユニオンのようなネットワークが反撃の動きを支え始めていますが、依然として沈黙が安全とされる空気は、自由な社会の根幹をじわじわと破壊しています。
このような一方的な空気と同調圧力が、イギリスにおいては表現の自由を脅かし、間違った意見を口にする者が職を失うという状況を生み出しています。言論の自由が崩れつつある今、我々日本人にとってもこの問題は対岸の火事ではありません。差別という言葉のもとに、一方的な価値観が多数の民意を圧倒する時代が既に始まっています。
果たして、誰がこの状況を作り出し、どのような社会に向かうのか。イギリスの言論の自由が危機に直面している今、我々はその行く末を見守る必要があります。