フジテレビの日枝久氏が突然退任を発表した。これは、元タレントの中井正浩氏との女性トラブルに端を発した一連の問題によるもので、フジテレビの親会社であるフジメディアホールディングスは27日にこの決定を発表した。日枝氏は、取締役として40年以上の長いキャリアを持ち、同社の経営に強い影響を及ぼしてきたが、信頼回復に向けた経営体制の刷新が求められていた。
昨年12月、中井氏を巡るトラブルが週刊誌に報じられたことで、フジテレビの対応は後手に回り、1月17日の記者会見では不十分な説明が繰り返され、強い批判を浴び、さらに多くのスポンサーがCM出稿を停止する事態に至った。1月27日には再度の会見を開き、港高一社長と可能修二会長が辞任するも、スポンサーは戻らず厳しい経営状況が続いている。
フジテレビは問題の調査のため、1月23日に第三者委員会を設置し、3月末を目処に調査報告書を出す予定だ。日枝氏は45歳で取締役に就任し、在任41年を迎えていたが、その存在は会社のガバナンスに悪影響を及ぼしているとの指摘が多かった。ネット上では、株主総会での退任が迫られた結果であり、表立って辞任したくなかったため、静かに退任を選んだのではないかとの声も上がっている。
また、他の取締役が辞任する中で日枝氏だけが残ることは不自然であり、昭和の悪しき風習を払拭できなかったのは彼の影響が大きいとされている。今回の退任がスポンサーの戻りにどのような影響を与えるかは、第三者委員会の報告書の内容にかかっているとみられている。
フジテレビを離れた各社がテレビCMを減らしても影響がなかったと発表し始めている中、日枝氏の退任はテレビ業界全体に大きな変化をもたらす可能性がある。特に、CMスキップ機能の搭載に反対していた日枝氏が退任することで、今後の経営方針が大きく変わることが予想される。
このタイミングでの退任発表は、第三者委員会の報告内容が厳しいものになることが漏れたためとの憶測もあり、業界の先行きは依然として不透明だ。フジテレビは、今後の経営再建のために新たな体制を整え、信頼回復に向けた取り組みを進めることが求められている。