5回1死、大谷が右中間に1号本塁打を放つ(カメラ・中島 傑)
◆MLB 東京シリーズ by Guggenheim カブス3―6ドジャース(19日・東京ドーム)
ドジャース・大谷翔平投手(30)が19日、東京Dで行われたカブス戦に「1番・DH」で出場し、5回、右中間へ今季1号ソロを放った。開幕2戦目でのアーチは自己最速タイで、日本開催の公式戦で本塁打を放った日本人選手は、04年のヤンキース・松井秀喜以来2人目。母国でファンの期待に応え、チームは6―3で開幕連勝を飾った。先発としてメジャーデビューした佐々木朗希投手(23)は5四球と制球に苦しみながら3回1失点、3奪三振。最速163キロをマークした。
半信半疑でも喜びは抑えられなかった。ダイヤモンドを一周した大谷は、大きく沸いた三塁スタンドに珍しく右手を上げて応えた。「ギリギリになって、もうちょっといってほしかったというのがあれでしたけど…」と苦笑いも「うれしいですし、いい投手から東京で打てたということがよかった」と胸を張った。
待望の一発が出たのは、3点をリードの5回1死。2番手右腕ピアソンの直球を右中間に運び、サク越えを確信したように歩き出した。だが、ボールがグラウンドに跳ね返り、走るスピードを上げるも、二塁塁審は右手を回して本塁打のコール。リプレー検証となったが、ファンが捕り損ねグラウンドに落ちたと判断され、判定は覆らず「少し微妙な感じになってしまって、でも打ててうれしい」とベンチでは再び両手を上げて笑顔を見せた。
はじき返した99・1マイル(約159・5キロ)は、メジャー226発目で昨年6月5日のパイレーツ戦のスキーンズの100・1マイル(約161・1キロ)を中堅に運んだ一発に続く球速。初回、大きな左飛では大きなため息に包まれたが、3月19日の1号は自己最速。開幕2戦目での本塁打は、46発を放った21年と並んで最速で、8打席目は1年目(18年)の6打席目に続いて2番目。昨季は開幕から9戦41打席目で1号だったが、3年連続MVP&本塁打王へ期待感の持てるアーチとなった。
試合後、記念撮影する(左から)大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希(カメラ・小林
通常、メジャーの球場では本拠、敵地問わずベンチ裏に打撃ケージがあることがほとんどで、大谷は試合中にボールを打つこともある。東京Dも一塁側裏にはケージがあるが、ド軍が使った三塁側にはない。日本ハムや侍ジャパンではホームの一塁側を使うことがほとんどで「準備が難しいかなと。そこに対応するのが課題だった」と漏らしていた。それでも限られたスペースで素振りをするなどし万全の準備をした。
この日は同じ岩手出身の朗希のデビュー戦。右腕が初回に3者凡退で抑えた際にはベンチで拍手し、先頭に出てハイタッチで出迎えた。朗希に白星はつかなかったが“兄貴分”らしく「気合も入っていて、少し力が入っていたと思いましたが、球速も出ていましたし、粘り強い、いいピッチングだった」とたたえ、降板後ではあったが、一発を放って面目を保った。
前日の開幕戦は「珍しく緊張している感じは1打席目はあった」と漏らすほど、大きな期待を受ける日本開催の重圧を口にした大谷。終わってみれば8打数3安打、1本塁打で連勝に大きく貢献した。大声援の中心に立ったヒーローインタビュー。「2連勝して、この東京でいいスタートが切れた。今年が素晴らしい年になるように、また優勝を目指して頑張りたい。いい思い出になりましたし、またいつかこういうふうな形で試合ができればうれしい」と声を張った。2年連続ワールドシリーズ制覇へ、視界は良好だ。(安藤 宏太)
大谷に聞く
―注目されて、期待されて迎えた東京シリーズだったが。
「2連勝できたことが何よりうれしいですし、昨日の由伸も、今日の朗希も粘り強い素晴らしいピッチングだった」
5回1死、1号ソロ本塁打を放ちミゲル・ロハス(右)とデコピンポーズをする大谷翔平(カメラ・中島 傑)
―朗希の投球を見て。
「個人的には今日の方がリラックスはできた。朗希も難しい中でよく踏ん張って、勝ちのチャンスを最後まで残してくれるような粘り強いピッチングだった」
―東京でなかなかできない経験だったと思うが。
「球場でもそうですし、球場外でも日本の雰囲気を楽しんでもらえたならうれしい。何より2勝できたので、いいリズムでまたアメリカでの試合に向けて頑張りたい」