ジャーナリストの伊藤詩織さんが監督を務めた映画『ブラックボックスダイアリー』が、アカデミー賞にノミネートされるなど、世界的に注目を集めている。しかし、上映中に発生した思わぬ問題が、伊藤さんの信頼を揺るがす事態を引き起こしている。
この映画は、暴力の実態を追ったドキュメンタリー作品であるが、上映会で伊藤さんの元サポーターである西洋子弁護士が衝撃の事実を明らかにした。西弁護士は、映画に自身の電話音声が無断で使用されていたことを、上映会で初めて知ったと語った。この音声は、裁判記録でもない通常の会話であり、プライベートなやり取りが許可なく流用されていたことが問題視されている。
伊藤さんは、上映後に「否認する気力すらありませんでした」と述べ、映画の内容についての確認は行っていたが、電話音声の部分については見落としていたと説明した。この事態は、彼女にとって非常に衝撃的であり、信頼関係が損なわれたことに対する謝罪も行った。
この問題は、被害者から加害者側の立場に転落してしまう可能性を示唆しており、メディアの倫理やプライバシーに関する議論を呼び起こしている。伊藤さんは、映画を通じて暴力の実態を伝えることを目的としていたが、このような形でのトラブルは、彼女の活動に対する信頼を揺るがす結果となった。
映画『ブラックボックスダイアリー』は、暴力の現実を直視する重要な作品であるが、その制作過程で発生した問題が、今後の展開にどう影響を及ぼすのか注目される。伊藤さんの今後の活動にも、厳しい視線が向けられることになるだろう。