2023年8月23日、新宿区歌舞伎町のカプセルホテルで、ライブ配信者である「いだき女子りりちゃん」と渡辺前被告が愛知県で逮捕されるという衝撃的な事件が発生した。この事件は、名古屋市在住の女子大生がマッチングアプリを通じて知り合った男性から多額の現金を詐取したことが発端となっている。取り調べの結果、女子大生が渡辺被告が作成した詐欺マニュアルを参考にしていたことが明らかになり、愛知県警は渡辺被告を詐欺幇助の容疑で逮捕した。
渡辺被告はその後、9月20日と10月22日に、年上の男性から恋愛感情を利用して総額約1億5000万円を騙し取ったとして再逮捕された。彼女が「いだき」と名付けたこの手法は、年上の男性から金銭を引き出すためのキャッチーな方法として注目を集めていた。彼女の独特なファッションや個性的なキャラクターも相まって、世間からの関心を集めることとなった。
リリちゃんが生み出したマニュアルは、年上男性を「叔父」と呼び、彼らからお金を騙し取る方法を「魔法」と称してノウハウ化し、女性たちに販売していた。SNSの活用も巧妙で、彼女のTwitterアカウントのフォロワーは5万人を超え、ホストクラブでの様子を頻繁に投稿していた。裏引き行為は昔から存在したが、リリちゃんはそれをカジュアル化し、親しみやすい言葉で表現することで、より多くの女性たちに受け入れられるようにしていた。
彼女のマニュアルは、夜職に従事する女性たちにとって非常に魅力的なものであり、1000人以上が購入したとされている。彼女の手法は、単に金銭を得るだけでなく、ホストクラブでの贅沢な生活をもたらすものであった。しかし、その裏には多くの悲劇が潜んでいることも忘れてはならない。
最近の新宿のタワーマンションでの殺人事件や、ライブ配信者が刺殺された事件が相次いでおり、これらの事件とリリちゃんのマニュアルとの関連性が指摘されている。特に、男女関係のもつれが引き起こす危険性が強調されており、リリちゃんのマニュアルには「こういったマニアは絶対にターゲットにしてはいけない」との警告も含まれていたという。
リリちゃんの行動は、単なる詐欺行為にとどまらず、社会の病理を映し出すものであるとの意見も多い。彼女の手法に共感を示す声もあれば、彼女の才能を犯罪に使ったことへの批判も存在する。社会のレールから逸脱した者たちがどのようにしてこのような行動に至るのか、今後の社会における問題提起が求められる。
このような事件は、単なる犯罪として片付けることができない深い社会的背景を持っている。今後もこの問題に対する議論が続くことが予想される。