韓国のソウルが世界的なK-POPアーティストの発信地でありながら、実は深刻な音楽アリーナ不足に直面していることが明らかになりました。アーティストたちは、母国での大規模公演を諦め、日本のドームツアーやアメリカのスタジアムツアーを優先せざるを得ないという皮肉な状況が続いています。この現象は、ソウルが持つ音楽的才能が東京における収益に直結していることを示しています。
現在、ソウルには1万人以上を収容できる専用の音楽アリーナが存在しません。現存する施設は主にスポーツイベントに使用されており、コンサートのスケジュール調整が非常に困難です。このため、K-POPアーティストたちは、海外での公演を選択する傾向が強まっています。アーティストたちが訪れたい聖地としてのソウルが、実際にはツアーの出発地となっているのです。
コンサートは都市に莫大な経済効果をもたらす第産業であり、例えば、2024年にシンガポールで行われるテイラー・スウィフトの公演は、わずか6日間で約3億ドルの経済効果を生むと予測されています。このような機会をソウルは逃しており、結果的に日本、特に東京がその受け皿となっています。
東京には多様な公演施設が整備されており、K-POPアーティストの公演も頻繁に行われています。この奇妙な経済構造は、ソウルで育まれた才能が東京で収益を生むことを意味しています。ネット上では、「韓国のコンサートはスマホ撮影以外禁止だから、逆に日本に行くのが普通だ」といった意見が見られ、ファンの間でも複雑な感情が渦巻いています。
新しいアリーナが2027年に完成予定ですが、その規模が十分でないとの指摘もあり、今後の展望は不透明です。音楽業界におけるトップ層だけが利益を得る構造が続く中、韓国に巨大アリーナが誕生すれば、アーティストたちが日本に来ることが少なくなるかもしれません。
このような状況は、韓国の音楽業界のインフラ整備の遅れを浮き彫りにしています。音楽は公共財であり、アーティストのパフォーマンスが国や地域に与える影響は計り知れません。ソウルがその才能を育てる一方で、東京がその利益を享受するという現実は、今後の音楽業界における重要な課題となるでしょう。