幼くして老化が進む難病コケイン症候群を抱える男の子、土誉さん(16歳)が、家族と共に懸命に日々を過ごしている。この病気は、通常の4倍から5倍の速さで老化が進む希少な難病で、知的障害や視力障害を伴い、発症率は50万人に1人とされている。国内の患者数は約50人で、平均寿命は15歳から20歳と厳しい現実が待ち受けている。
今月8日、仙台市内の公園で花見を楽しむ姿を見せた土誉さん。彼は視力がほとんど見えず、満開の桜の美しさを感じることはできないが、家族との思い出は確かに心に残っている。彼の母親は、土誉さんが10歳を迎えた際から、その年齢を壁に貼り続け、毎年の誕生日を祝うことを特別な意味を持つ行事として大切にしている。
土誉さんは2007年に生まれ、4歳の時にコケイン症候群の診断を受けた。小学校入学時には体重がわずか9.1kgで、同年齢の子供たちの平均を大きく下回っていた。彼は好きな曲として「ハッピーバースデー」を挙げ、家族の愛情を感じながら成長してきた。
しかし、2017年以降、10歳を過ぎると急速に老化が進むことが懸念され始めた。視力の低下や自立が難しくなる中、2020年に小学校を卒業し、家族と共にお祝いをしたが、その記憶も次第に薄れていく。2022年2月には腎機能の悪化により、医師から余命1年の宣告を受けた。これを受け、家族は日々の生活を大切にし、土誉さんの笑顔を守ろうと懸命に支え合っている。
現在、土誉さんの誕生日は6月15日。彼の願いは、今年も家族と一緒に「ハッピーバースデー」を歌い、楽しい時間を過ごすことだ。厳しい現実に直面しながらも、彼と家族は希望を持ち、懸命に生き続けている。