円安が進んでいた日本の観光業界に、円高と航空運賃の高騰が重なり、韓国からの日本旅行需要が急激に減少しています。2025年4月には円が1円21.66本まで上昇し、この3年間で最も高い水準を記録しました。これにより、2022年以降続いていた円安トレンドが一転し、観光業界に深刻な影響を及ぼしています。
例えば、巨言ツアーによると、2023年のゴールデンウィーク期間中の予約は前年に比べ45%減少しました。2024年には882万人を記録した韓国人観光客の動きが急ブレーキをかけられた格好です。円高やゴールデンウィーク中の現地の混雑が需要減少の要因とされていますが、航空運賃の上昇も追い打ちをかけています。大阪と仁川の間では2週間前と比べ58%、東京とインチョンの間では44%の値上がりが見られています。
人気旅行先のランキングでも、日本の順位が前年の3位から5位に転落しました。ベトナムやヨーロッパ、中国が上位を占める中、日本の予約全体に占める割合も13.1%から9.3%へと減少しています。さらに、日本側の観光地ではオーバーツーリズム対策として宿泊税や入場料の引き上げが進行中で、観光客の経済的負担が今後も増加する見通しです。これらの要因が、日本旅行ブームの終焉を加速させる可能性があります。
経済は常に変動するものであり、円安から円高への移行は日本にとって一時的な静けさをもたらすかもしれません。安さだけで日本を訪れる外国人観光客には文化や歴史に対する興味が薄いとされ、円高が続くことで、観光客の質が向上することが期待されています。特に、日本国内における観光業界では、マナーを守る良質な観光客を歓迎する声が上がっています。
一方で、円高が進むことで、日本人が海外旅行をする際の負担は軽減される可能性もあり、逆に韓国への旅行が増えることも考えられます。円高は日本にとって良い傾向であるとの意見もあり、観光地の混雑を緩和する一方で、日本が外国人観光客の魅力を再評価する機会ともなりそうです。
今後の観光業界は、円高が続く中でどのように新たな需要を創出し、質の高い観光客を呼び込むかが課題となります。円高が進むことで、経済的なバランスが取れ、観光業界が持続可能な形で発展することが期待されています。